◆初めに◆ 期間工だったおれは何を得て、そして何を失った?自問自答の期間工ブログ開始

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makerumonka

視界にあるのはドアとボルトとツナギの男
作業場を思い出すだけで、胃が重くなる。
本当によくやったよ、おれ。

気がついたら、期間満了を迎えていた。
かれこれ丸2年もの間、期間従業員をやっていたことになる。
誰もがその名を知る世界的自動車会社、ホンダの埼玉狭山工場

我ながらよくやったと思う。
オイルと鉄のにおいが充満するあの空間に、次から次へと車のドアが流れてくるあのラインに、おれは休まずに立ち続けた。


横浜の動く歩道を彷彿とさせる、大型のベルトコンベアがおれのステージだ。
もちろん動く歩道と異なる点はいくつかあって、ベルトに乗って流れてくるのは子供でもカップルでもなく、ドアドアドアひたすらドア

たまにツナギのおっさんも一緒に流れてくる。
通称・兄貴こと、吉野さんだ。
作業をミスって流されてくるのだ。

一筋の太陽光も入らない工場内の圧迫感はすさまじい。
それに輪をかけるように、重低音の機械音がシュゴーシュゴーと響き続けている。
自分の周りにダースベイダーが30人くらいいる時の音だ。

30人は埼玉の小学校の1クラスの平均人数。
クラス全員がダースベイダー。そんな教室に転校してきた気分だ。
不登校決定だよ。

背後からラインリーダー岡山さんのドスのきいた怒声が轟いてくる。
また兄貴がミスっちまったんだろう。
たぶん間もなく必死の形相でドアと共に流れてくるであろう。
ほら、きた。

期間工とは、結局なんだったんだ。おれにとって。
あの2年に意味を見いだすためにおれはブログを書く。

そんな光景を2年にわたり、おれは見つめ続けてきた。
その異様が当たり前となった世界を。
流れてくる吉野の兄貴を。

あの2年で、おれは何を手に入れ、何を失ったのか。

手に入れたもの――ボルトの早締めスキル。早メシスキル。プリンセス天功ばりのツナギの早脱ぎ。DQN・元ヤンへの慣れ。そして数百万円の貯金

失ったもの――20代最後の時間、向上心、正常な自律神経。そしてメシと休みのことだけ考えて過ごすうちに消滅した数億の脳細胞。間違いなくIQは低下した。

改めて見直すと、貯金以外は社会で大して役にたたないものばかり手に入っている。
その唯一のプラス要素である貯金でさえ、今はイリュージョンのように消えてしまった。

ちょっと待て。じゃあ、あの2年の意味はなんだったのか。
そう、もしかしたら、無理矢理にでもなにかしらの意味を見いだそうとして、今こうしてキーボードを叩いているのかもしれない。

おれこと、森田森三という男

とりあえず初めのうちに、おれこと森田森三の趣味・嗜好・人間性を説明しておく。

UKロックが好き。その影響でファッションが好き。からあげとフルーチェも好き。リクルートスーツの女性が好き。生卵と猫アレルギー。車・ギャンブルに興味なし。リクルートスーツの女性が好き。闘争心と執着心が薄い。人への関心が薄い。できたら飲み会は断りたい。集中力散漫。そして飽きっぽい。

そう、とにかく飽きっぽい。

実をいうと、この文章を書くことさえ、すでに若干飽きている。
もうやめようかな。そう思った数は、ここまでの文章を書く間に軽く2桁に達している。
すでにやめた後に食べたいものまで考え出している。

しかしなんだか不思議な気分だ。
もしここで書くことをやめたら、ここまでの文章は誰の目にも触れることなく闇に葬りさられるのだ。

そう考えたら、ちょっと大胆なことも書いてみたくもなる。

ちんちん。
ほら、書いてしまった。


ちんちんと大きく書いてから、いま2時間が経過した。

とんでもない自己嫌悪におちいっている。

期間工について書くはずが、なぜちんちんという謎のゴールにたどり着いてしまったんだろう。

おれの人生ってなんだろう。


自身の人生に疑問を持ってから2時間が過ぎた。
おれはアルコールとめぐりズムとでリセットして帰ってきた。

悩むことに対してさえ飽きっぽいのはおれの長所だ。
なんていうか、悩むことに集中できない。

ましてや、ちんちん発信の悩みになんて。

ちなみに、めぐりズムの「り」がひらがなであることを、この2時間で学んだ。
自覚している。
集中力の散漫さが文章で炸裂していることは自覚している。
まあ先へ進もう。

ASIMO

ひとまずASIMOでごまかすよ

メリットもあればデメリットもある。
けど、期間工って、そんなにわるくないぜ。たぶん。

とにかくおれは飽きっぽい。
そんなおれが、あの中世の拷問めいた作業を2年間もこなしたんだ。

ベルトに乗って延々と流れてくる車のドアの穴に延々とボルトを延々とねじ込み続ける作業を延々とこなしたんだ。
延々って言葉を使いすぎたくなるほど、延々としか言い様のない作業をこなしてきたんだ。

車大好き、組み立て大好き、工場大好き、そんな連中とは時間と言葉の重みがちがう。
おれだからこその説得力がそこにあるはずだ。

ちなみに現在おれは、色々と紆余曲折あって、結構イケイケなIT企業に勤めている。

おおぅフ○○○○ーーック、ITカンパニー、シットアドットコム
期間工だったころのおれが聞いたら、脳内にシド・ヴィシャスが降臨してヘドをまき散らしそうな、なんだか妙にキラキラした環境に身をおいている。

シドヴィシャス

【シド・ヴィシャス】
パンクロックの代名詞。ベースの弾けないベーシスト。
かっこよく鼻血を垂らすことができる唯一の男。

もちろん、どんな仕事でもそうなのだろうが、実際は闇と泥にまみれたダーティーな世界だ。が、それでも、あのときと世界が違うのはたしかだ。

だからこそ、居心地の悪さを感じることもある。おれの立つべき舞台は自動車工場のラインの上なのじゃないかと、年に2秒くらい思う瞬間もある。

そして今おれはあの頃を追体験するように記憶を呼び覚ます。
川越にあるつけ麺屋・頑者の店主が、やんちゃだった10代のころを思い返すときと同様の、遠い目をしておれは回想する。

とにかく間違いなくこれだけは言える。
期間工って、そんなにわるくないぜ。

たぶん。

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