過酷・期間工2日目のブログ【4】―シティーハンターと相田みつを―

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みつをだって人間だもの

突然シティーハンターの登場

ちょっと見ててー、と言うやいなや、小畑教官がインパクトドライバーをちゃっと構えた。
ガガガ。
あっという間にボルトを3本打ち込んだ。

シティーハンターだ。
シティーハンターが現れた。
それくらい格好よかった。正確さ、スピード感。
これがプロのスキルか。
念のため、原作同様にもっこりしてないか、こっそり股間を目視確認したが、幸いにも異変はなかった。

「これがきれいに入った時の状態。横から見て。隙間ないから」
たしかにボルトの頭がびっちり平行に板に密着していた。

打ち込んだ際の音も、おかしな不協和音のない、簡素でスムーズな音だった。
パツオが先ほどボルトを打ち込む際に立てた派手な金属音は、おかしな入り方をしたゆえのノイズだったのだ。

「それじゃあインパクトいくつか出すから、適当にチームつくって、順番に練習してみて」
おれたちは適当にチームをつくり、いくつかのインパクトドライバーを分けあった。

インパクトドライバーって難しいんだなぁ。

習熟スタート。
たちまちそこら中から、山をあげる(ボルトを斜めに差してしまう失敗)ノイズが響きだした。
男たちの集団が、首をひねりながら不協和音を立てる光景は、前衛的アートのパフォーマンスのようだった。

おれのチームで一番手を務めた同年代くらいの男が、はーはー汗をかきながら帰ってきた。
目があうと「いやー絶対ムリムリこれ一生できないね」と人懐っこい笑顔で、完敗宣言をしてきた。
「マジっすか」という返事と呼べないレベルの返事をしながら、おれ今日初めて会話したなとぼんやり思った。

意外なことにそれだけで気分がちょっと楽になった。
やっぱりおれも人間なのである。
やっぱりおれも弱い人間なんだな。
仲間が必要なんだなぁ。
みつを


みつをになっているうちにおれの番がきた。
インパクトドライバーはずしりと重く冷たくて、無骨で無機質な工具感がかっこよかった。
トリガーを引くと銃口に似た先っぽが、ブルルンと勢いよく回転した。

ちなみに今「ブルルン」を入力しようとしたら、「ブル(’-’*)♪」と誤変換された。
どうしても伝えたくなって書いてしまった。

ボルトを掴み、ひとつをクリクリと先っぽにセットする。
自分でも「おっそ」と衝撃を受ける遅さだった。
ようやくセットができ、ボルトを金属版の穴に押しあて、恐る恐るトリガーを引くと、派手な音がして山があがった。
――うまくいく気がしねえ。

後ろから見ていて、これは難しいだろうと思っていたが、案の定だった。
早くも戦意を失ったおれは、無駄に首をひねりながらインパクトをブルルンさせて、次の人間と代わった。

ギャラリー席へ戻ると、先ほどの完敗宣言の男が、“やっぱり君は同類だった”と言わんばかりのキラキラした目でおれを出迎えた。


その後しばらくノイズライブが続き、最初で最後の実習が終わった。
スキルゼロであることを再確認できたことだけが収穫だった。

昼食を食べたら、いよいよ所属チームに合流だ。
ブル(’-’*)♪ ブル(’-’*)♪