アルコール依存症の期間工ブログ【3】 ―依存と文学と音楽+お酒にまつわるクールな名言―

▼シェアシタ貴方ヘ福ガ訪レマスヨウニ▼

ブコウスキー

アルコール依存症でもいいじゃないか。
英国ロックと日米文学で破壊し尽された私の倫理観

前回までの通り、おれの飲酒癖は徐々にブレーキがきかなくなってきた。

アディクト(依存・中毒)に対する“倫理観”

そう、本来持っているべきなはずの倫理観
これがブレーキにならなかったのが痛かった。
まったく機能しなかった。

なぜかといえば、おれの愛すべきヒーローたちが、おれが最も多感だった10代から20代にかけて、マイクやエレキギターやタイプライターを使って、おれの倫理観を徹底的に破壊しつくしたからだ。

ロックが好きだった。特にブリットポップと呼ばれる90年代UKロックが好きだった。
また、偏差値低めのアウトローな環境にいながら、意外に本も好きだった

それらを手当たり次第に聴いたり読んだりしているうち、いつしかおれの脳内には、普通に過ごしていては到底身につかない独特の価値観が、モノリスのごとくいくつもそびえ立っていた。


ロックンロールは音楽のジャンルにつけられた名前ではない。
ロックンロールはある種の特別な精神状態につけられた名前。

てわけで、まずはロックンロール。

海の外にいるおれのヒーローたちは、日本であれば文春砲が炸裂しまくるような危険なカルチャーを、サウンドでビデオでインタビューで実に魅力的に教えてくれた。

1960年代、70年代、80年代……

重篤な薬物中毒に陥り、全身の血を入れ替えたとの伝説があるローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズ。
(※一説にはその手術後、「これでまたクスリが打てる」と言ったとか。――痺れるぜ!!こういうのに痺れてるからダメなんだぜ!!!)

Lucy in the Sky with Diamonds (※幻覚性の薬)という歌を書いた我らがビートルズのジョン・レノン。
成田空港へ無邪気に草を持ち込んで「え、ダメなん??」みたいなキョトン顔で逮捕されたポール・マッカートニー。

ポール・マッカートニー

ポーーールーーー!!!

ザ・フー、ジミヘン、ツェッペリン、セックス・ピストルズ。
モッズ・カルチャー。ヒッピー・カルチャー。パンク・カルチャー。サイケデリックの夜明けフラワームーヴメント……

まあ、ここまでなら遠い世界の遠い時代の話だ。
戦時中のヒロポンの話とかそれと同じくらいの現実味のない話だ。


しかしリアルタイムで見聞きする90年代、そして2000年代は一味ちがっていた。

コークを砂糖代わりにコーンフレークにかけてダイエットしたとうそぶくオアシスのノエル・ギャラガー。

巨大化するバンドから姿を消し、部屋でひとり、歯がなくなるまで薬を摂取したレッチリのジョン・フルシアンテ。

2000年代のUK音楽シーンで最高の才能を持ちながら、薬で台無しにして、いまだにデビューした年以来、来日のないリバティーンズのピート・ドハーティ。

リアルタイムで生きている彼らを通して見る薬話には、ヒッピーカルチャーとかの話を聞くのとは全然別の、生きることに密着した生々しいリアリティを感じられた。

ピート・ドハーティ

【ピート・ドハーティ】
リバティーンズという伝説のバンドのツインの片割れでおれの20代の頃のカリスマ。
ヤク中が良いか悪いか云々の前に、単純にかっこいいって感じちゃったんだからしょうがないじゃん!
でも今ぶっくぶくに太っちゃったのさ。

思春期にそんなヒーローたちに心酔したせいで、薬やアルコール、総じて酩酊・自失、要するにラリる行為へのアディクトに対して、もうまったく全然これっぽっちもネガティブなイメージがない。
むしろポジティブな感情とさえ言っていい。

このミュージシャンと同じブランドの服をおれも着たい。
くらいの感覚で、
“いつか薬をやってみたい!”
って無垢な想いで未来に目をきらきらさせていた。


そして極めつけはジャンキー映画の金字塔『トレインスポッティング』だ。
ファッション、音楽、仲間、失業手当、フットボール、そしてメインテーマである多種のドラッグ。

おれの求めている最低にして最高にクールな、90年代UKの世界がそこにはあった。

トレインスポッティング
【トレインスポッティング】
90年代センセーショナルをおこしたグラスゴーの薬中の若者の暗いのに陽気でクールな青春映画。
ちなみにTrainspottingとは、様々な薬を渡り歩く者を表すスラングで、電車の映画ってわけじゃありません。

ユアン・マクレガー史上、断トツでかっこいいマクレガーが見れる。
イギーポップの音楽をバックに、人生観を吐き散らしてくるオープニングがマジでかっこよすぎるんだ。

どんな人生を選ぶ?
仕事・出世・家族・大型テレビ・洗濯機・車・健康…(略)…暇つぶしの日曜大工・くだらないTV番組・ジャンクフード・醜い体をさらすみじめな老後。できそこないのガキにもうとまれる。

――それが”豊かな人生”
そんなのおれはごめんだ。豊かな人生になんか興味はない。
理由?
理由なんてない。
ヘロ●ンだけがある。


みんなヘ●インと言えば”死”や”破滅”だと決めつける。

でも違う。それは”快楽”だ。そうじゃなきゃやらない。
最高のセックスを1000回しても、この快感には及ばない――で、ラストシーンで仲間を裏切って大金を手にして、ジャンキー共と縁を切って、オープニングで全否定したその「豊かな人生」に自分もデビューしようと決意するんすよ。  楽しみだ。そう、あんたと同じ人生だ。
出世・家族・大型テレビ……ゴルフ・洗車・家族でクリスマス・年金・税金控除。
平穏に暮らす。
寿命を換算して。

遅まきながらおれも社会に出るか、しゃーない面接いくかって決意したとき、私はこのラストシーンを見返してテンションを上げました。

こんな遠い島国でそういう影響を及ぼしてたりするから、いやー、映画って本当に良いものですね。


まあこんな感じだから、愛すべき周囲の人間がいなければ、おれは現実的にズッポリとそのジャンキーな泥沼世界に突っ込んでいっただろうと思う。

でも幸いなことに、おれには、おれが逮捕されたら悲しむうえにきっと責任を感じるうえに迷惑がかかるであろう家族がいた。

いくら憧れがあろうが興味があろうが、大切な人を泣かしてまでやるもんではないよね。

理性を吹っ飛ばす酩酊を求めるところにおいて、本質的には薬もアルコールも同じだけど、やっぱり決定的に合法・非合法で別れているのだから、そこだけはしっかりしようじゃないかと言っておこう。

依存症って、なにげに文学的じゃないか。
アンチ倫理な名作がいっぱい。意外と危険な文学の世界

ロック映画ときたら次は文学だ。

文学はもっと具体性を帯びて、アディクトその他、アンモラル的行為の魅力を伝えてくれる。

このあたりを好む層から愛されている作家の定番だと、まずは『裸のランチ』を書いたウィリアム・バロウズ、『吠える』を書いた詩人アレン・ギンズバーグ等のビートニクと呼ばれる系列の作家たちですかね。

ウィリアム・バロウズ

【ウィリアム・バロウズ】
『ヘロ●ンはアルコールやマリファナのように人生の楽しみを増すための手段ではない。刺激でもない。ヘロ●ンはそれ自体がひとつの生き方なのだ』
こんなかっちょいい爺さん見たことないよ。

おれ個人で好きなのだと、チャールズ・ブコウスキー葛西善蔵中島らも西村賢太
どれも薬物もしくはアルコール、もしくはその両方にまみれた偉大なる文豪たちです。

素晴らしい作家であるほど、その作品よりその人生のほうが面白いと、知人のパンクバンドのドラマー兼哲学者ネジオさんが言っていました。

上に挙げた作家は、その素晴らしい才能と自身の生き様をリンクさせて書く、私小説型の作家たちです。

要するに、面白くないわけがない。

中島らも
【中島らも】
伝説的アル中の作家・ロッカー・おれの心の師匠。

爆笑問題の番組で「いいんだぜ」という曲を披露して、過激な歌詞にほとんど音声が消されていたのに爆笑して衝撃を受けた。
それが、おれとの最初の出会いだった。

退廃感とユーモアと優しさが共存していて、人(特に社会で使い道がないような人間)に優しい人。

こうして生きてきてみるとわかるのだが、めったにはない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、「生きていてよかった」と思う夜がある。
一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。

中島らもは小説やエッセイの合間にこういう美しい名フレーズをいれてくる。

昔、上の言葉をめっちゃ落ち込んでる知人の女の子におれのセリフとして言ったところ「私は一回じゃなくていつも味わってたいの!」と即座に返された。

らもさん、こんなわがままビッチにはなにを言えばいいんでしょうか?
思いっきりビンタすればいいんでしょうか?


アルコールはともかく、薬なんて一般的には結構眉をひそめられるジャンルじゃないですか。
またそれに限らず、暴力性、変態性など、思春期まっさかりの青少年からは遠ざけておきたい歪みの要素ってありますよね。

でもそれとは裏腹に、文学においてそういった陰をもった要素って、ものすごく深淵な、古くから扱われてきたテーマのひとつなんですよね。

だから日本の名作と呼ばれる作品って、実は反道徳的な危険な作品が結構な割合でしれっと混ざっていたりするんですよ。
で、それがまたしれっと高校生のおススメ図書とかに混ざっていたりするんですよ。

例えば、谷崎潤一郎なんて、むっちゃ渋い顔で机に向かう超大御所の大文豪ですけど、作品読んでいくと究極のドM野郎ですし。
ノーベル文学賞作家の川端康成も動かざる静寂の変態ですし。


そんな清濁あわせ持った文学の中でも、初めて読んだときのインパクトでナンバー1だったのが、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』です。

たしかあれ、ナツイチ的なカタログ(夏休みのあたりで各出版社がだす「若いうちにこれ読んどけよ」的なコンセプトの冊子)の推薦図書になっていて買ったと思うんですよ。

世界数十か国で訳された日本文学の金字塔的作品。
類まれなる瑞々しき輝きをもった青春小説。
それが読み始める前のイメージ。

で、ページめくって「????」

なんだこりゃ。ってなりました。
本を間違えたかって思いました。

だってとにかく隙あらばセックスとお薬のえぐい描写。

それが延々と交互に続く餅つき状態で、そのままラストに向かっていくんだもの。

とにかく、チェリーボーイな高校生にはハードすぎる内容だった。
バリバリに童貞のおれは胃もたれを起こしました。

限りなく透明に近いブルー

【限りなく透明に近いブルー】
ちなみに初期の題名は、『栗トリスにバターを』
実家の本棚に置けるか!改題して大正解だよ。

村上龍は特別好きな作家じゃないんですが、『限りなく~』だけは初読のインパクトもあって、今でもたまに読みます。

ストーリーらしいストーリーが明確にあるわけではなく、前述した通り、”セックス ・ドラッグ(ヨーォ! )”って感じなんですが、なんていっても感情的にならないドライな文体によって全体を覆う雰囲気が素晴らしい。
てか合間のかけ声、誰だよ。おれか。

イメージ的に言うと、夜と朝のつなぎ目のような灰がかった青色の雰囲気が作品全体に満ちていて、シンとした静寂を感じさせとてもクールです。

この小説が傑作なのは間違いないです。
これは自信を持って言えます。

ただ一般的な価値観からいえば、この本がおれに与えたのは、悪影響だけです。
これも自信をもって言えます。
悪影響だけです。

これを読んでちょっとでも興味がでた男子高校生はぜひ読んでみてください。
そして私と同じ胃もたれを起こしてください。

ちなみに今のおれのキーボード、「せ」って入れるだけで、待ってましたって感じで「セックス」が予測変換でトップに現れる廃人仕様になっています。

あと話戻すと、『限りなく~』は文学的な位置づけとして非常に高い場所にあるので、先生や親に「読んだよ!」って胸を張っていいやつです。
読んでおくと教養扱いされるので、一石二鳥です。

お酒にまつわる偉人たちのCOOLな名言

ちょっと、いやかなり話変わるんだけど、酒に関する言葉で痺れたもののひとつに、『ちびまる子ちゃん』父ヒロシが発したこのセリフがある。

「おれはぜんぜん怖くなんかないね。死ぬときゃ死ぬんだ。先のこと悲嘆するより、今この酒がうまければいいんだ」

ノストラダムスの大予言の回にて、父ヒロシが放つ名セリフだ。
初めて読んだのは小学生のときだが、以来おれの脳に鮮烈に刻まれ続けている一言だ。

この刹那的で快楽主義な人生観は、なにかを諦め、そしてなにかを悟った大人な男の枯れたかっこよさを感じさせた。ゾクリとする色気を覚えた。

そしてこのかっこよさを決定づけているのは、やはり「酒」なのだ。
この部分が「お茶」じゃダメなのだ。


上のヒロシで思い出したが、前に仕事で酒にまつわる名言を集めさせられたことがあった。
せっかくだから、明日から使える名言の数々を紹介して今日はさよならしよう。

美味しいお酒がさらに美味しくなるよ。

「おのれ、目に見えぬ酒の精、汝にまだ名がないのならこれから貴様を悪魔と呼ぶ!」
シェイクスピア
シェイクスピアだから名言っぽくなってるけど、競馬場のおっさんが同じこと叫んでたら、みんな見て見ぬふりして通り過ぎるんだろうな。
「酒は強い。王はさらに強い。女はなおさら強い」
ルター

これに限らず、セリフの後に「なあ、フグタくん」と付けるとアナゴさんになることに気づいてしまった。
「サイコロ、そして女と酒は、娯楽と苦痛を私にもたらす。なあ、フグタくん」
ローガウ
いかん、すべての言葉がアナゴさんで再生され始めた。
「酒が人間をダメにするんじゃないよ。人間はもともとダメだということを教えてくれるんだよ」
立川談志
頭にバンダナを巻いて、サングラスとハスキーボイスを使えば、きみも談志だ。
相手が談志を知らなかったら、長渕剛のモノマネに切り替えて乗り切れ!
曲はもちろん『乾杯』で。
立川談志

♪くぁんぱーい、いまーきみは人生のー大きな大きな舞台にたーちー遥か長い道のりを歩き始めたくぃみにぃしあわせーー …………
あっれーーーーーー!!!!!!
歌うとわかるけど「……」のタメの部分をどれだけ長く伸ばせるかは、その人のスケールのでかさに比例するな。

「ギムレットには早すぎる」
レイモンド・チャンドラー
お酒の名言で検索すると必ず出てくるこの言葉。実はいまだに意味をさっぱり知らないけど、当てずっぽうで使ってみよう!
「ワインと美少女は、2本の魔の糸。経験を積んだ鳥でも、これにはまんまと引っかかる」
リュッケルト
鳥とか言ってるけど、絶対これ本人の経験談でしょ!
「酒から何とすみやかに友情が踊り出ることか!」
J.ゲイ
隣に座ったゲイさんからこんなこと言われて肩組まれたら、友情ですむとは思えないよ。
「一杯目の酒は健康の為。二杯目は快楽の為。三杯目は放縦の為。そして四杯目は狂気の為だ」
アナカルシス
「放縦」ってなに?どう読むの?
「人生を忘れるための飲酒は一度もない。人生を加速させるために飲むのだ。ただ、加速しすぎると、カーブを曲がりそこねる」
フランソワーズ・サガン
ぼくは曲がりそこねて、今レッカー車を待ってるところです。
「ふところが痛いのは最初の一杯だけである」
ヴィンセント・S・リーン
「うっそマジ!? じゃドンペリピンクでー♪」と隣の女の子が言ったら、間違いなく君はカモになっている。
「我々は他人の健康を祈って乾杯し、自分の健康を損ねている」
ジェローム
おめでたい席でこんなセリフのおっさんに絡まれたら、とりあえず苦笑いで乗り切ろう。
「酒飲みは約束を果たすより盃を充たす方が多い」
シャルル・カイエ
うまいこと言ってやった感がすごい。なあシャルルよ。
「酒に害があるのではなく、泥酔する人に罪がある」
ベンジャミン・フランクリン
はいベンジャミンさん、正論。
「酒に感謝せねばな。酒が罪を被ってくれるおかげで、人が救われる」
ウルリッヒ・ケスラー
ベンジャミンさん、こいつこんなこと言ってるんすけど!!
「飲み物の順序は最も弱いものから最も強く香りの高いものへ」
ブリア・サバラン
うるせえ早く注文しろ!
「己で制御できないものを順に挙げると、酒と女と歌だ」
フランクリン・アダムス
堂々とダメ人間宣言しやがって。
「酒と女と歌を愛さない者は、一生アホとして生きるのだ」
マルチン・ルター
仲良くなれそうな人、すぐ上にいましたよ。
「酒を一切飲まない男、タバコを吸わない男と結婚してはいけない」
スチーヴンソン
お前なんかに娘をやれっか!酒もタバコもやらない公務員しか認めん。
「上にあるものが下に見えたら、飲むのをやめて家に帰ろう」
テオグニス
こう見え出した時には、絶対にもう歩いて帰れません。正解は「ママ―、タクシー呼んでー」
「君の瞳に乾杯」
映画『カサブランカ』より
これを言って冷めた目をするような女なんて、ビール瓶でぶん殴れ!
「なあ、フグタくん」
アナゴ
まだいたのか。

それでは良い夜と良いお酒を。

<つづく>

▼シェアシタ貴方ヘ福ガ訪レマスヨウニ▼